航空局より、小型機運航者の皆様向け (第40号:令和2年12月) に情報配信がされましたので、お知らせします。
冬になると時々目にする「一酸化炭素中毒」の記事、締め切った部屋でストーブや火鉢などを使用すると、
これに陥る危険性があることは良く知られています。
さて、皆さんが乗られる飛行機やヘリは、どうでしょうか。ご自分の機体の暖房がどのように空気を暖めているか、
ご存知でしょうか。タービン機の場合はエンジンの抽気で暖房をするのが一般的ですが、ピストン機(特に単発機)
では飛行機もヘリもエンジンの排気ガスと外部からの導入空気との熱交換で暖気を獲得しているのが一般的です。
冬季運航では当然この暖房装置を入れて運航するわけですが、もし、この排気ガスが漏れて導入空気に混入したら
どうなるでしょうか。
先ごろ、オーストラリア航空局はこの危険性について注意文書を運航者や整備関係者に向けて出しました。
事故調査で乗員の血液を調べた結果、CO濃度が高かった例がいくつか見つかったとのことです。CO中毒になると、
血液中のヘモグロビンが酸素を取り込めなくなる等の原因により、低酸素症と同じような状態になるのはご存知の
とおりです。CO中毒になると判断力が鈍り、重症化すると意識を喪失して死に至ります。一般に初期症状では頭痛や
吐き気が起こるとも言われていますが、比較的症状が軽いため、CO中毒を疑う頃には体が動かなくなっていると言わ
れています。
では、運航者の私たちはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
【注意点1】運航中暖房を入れた状態で変な匂いはしませんか。
CO自体には匂いはありませんが、排気ガスには匂いがあります。変だなと思ったら放置せずに暖房を止めて、
飛行を中断して整備士に相談しましょう。
【注意点2】地上での運航では風向きに注意しましょう。
追い風や横風を受けての長時間のタクシーやエンジンランナップは、自機の排気を取り込むおそれがあります。
ランナップでは少しでも風上に向けるように気を付けましょう。また、タクシーにおいてはどうしても追い風や
横風の状況になるため、一時的に外気導入を減少させるなど、注意が必要です。このような状態でのCO取り込みは、
冬季だけでなく、どのような季節でも起こります。
【注意点3】他機の排気を避けましょう。
【注意点2】自機の排気を取り込んでしまう危険性について述べていますが、当然他機の排気も危険です。
風向きに注意して、間隔を取るなどして他機の排気をなるべく取り込まないように注意しましょう。
ちなみに、前出のオーストラリア航空局の安全情報ではCO検出器の携帯を推奨しています。
<本件に関する問い合わせ先>
連絡先:国土交通省 航空局 安全部 運航安全課
TEL:03-5253-8111
内線50135 小型機安全対策係
内線50136 技能審査係
Email :hqt-kogataki@mlit.go.jp