航空局 安全部 安全政策課より、小型航空機による滑走路等への接触事故の防止に向けた対応について、周知依頼(注意喚起) がありましたので、その旨お知らせいたします。
本年3月20日、自家用の飛行機が大島空港に着陸した際、機体の胴体下部が滑走路面に接触した重大インシデントが発生しました。
運輸安全委員会によれば、我が国で発生した航空事故及び重大インシデント(以下「事故等」という。)のうち昨年11 月までに報告書が公表されたものについて事故等種別の分類に着目すると、「離着陸時における異常な滑走路又は着陸帯への接触」(ARC:Abnormal Runway Contact)に分類されるものが最も多くなっているとのことであり、上記重大インシデントを含め、同種別に分類されると考えられる事故等が、近年、事業用・自家用を問わず、小型航空機において数多く発生しているところです。
《 別添 》(参考 1) 「最近における滑走路等への接触を伴う事故等」(2022 年以降:2025.3.20 時点)
ARCは、発生件数の多さもさることながら、場合によっては地表や他の航空機などの地上の物件との衝突に至り、重大な被害につながりかねないことから、《 別添 》(参考2)運輸安全委員会ダイジェスト第47 号「滑走路等への接触事故の防止に向けて~規則を遵守し、基本に忠実に~」(令和6 年12 月17 日発行)に記載のある同種事故等を防止のための主な対策について、下記のとおり《 概要 》をまとめました。
具体的な対策の内容等については同ダイジェストに記載されていますので、航空機操縦士ならびに運航事業関係者各位におかれましては、同ダイジェストの内容を十分に理解し、運航の特性等に応じて必要な対策を徹底するよう、お願いいたします。
《 概要 》
1. 適切な操縦操作の確保
● 進入限界高度以下における目視物標の視認等による進入継続の条件を再確認し、スタビライズド・アプローチ及び復行の手順等の規定を遵守すること
● バウンドが生じた場合の判断や対応操作を実践できるよう、日頃から復行訓練や対応方法等を再確認すること
● チェックリストを理解して必要な操作を確実に実施するとともに、飛行の局面に応じた機体のあるべき状態を確認すること
● 初めて操縦する型式の場合など不慣れな機体については、飛行前に装置の操作方法等を十分に理解するとともに、着陸訓練と同様に着陸復行の訓練を十分に行い、操作手順や飛行特性を十分に習熟すること
● 周囲の環境、機体の性能、操縦士の経験等に応じた安全マージンを確保すること
2. 組織的な安全管理体制の確保
● 特に訓練飛行中に事故等が多発していることに鑑み、
– 訓練生と教官が健全なコミュニケーションを維持し認識を共有すること
– 訓練要領を明確化するとともに、事前に十分な準備を行った上で訓練に臨める環境を用意すること
– 教官のアシストについて、飛行前にその目的や実施要領を訓練生に明示すること
– 単独飛行を行う際の見極め方を含め、技量認定は規定された手順で行うこと
● 操縦士間・搭乗者間で役割分担を明確化し、チームとしての能力が最大限に発揮できるようにすること
● 機長及び副操縦士間のアサーション等、CRM が適切に機能するように教育訓練を行うこと
3. 気象状況への対応
● 横風、背風等の気流の乱れに対する対応等を事前に検討し、乗務員間で共有すること
● 風向及び風速の変動が予想される場合には、操縦士は積極的に管制塔、空港の運航支援者等に変動幅を問い合わせるなどして情報を集め、進入の適否を慎重に判断するとともに、進入中も適宜情報を入手すること
● 気流のじょう乱により機体の挙動が予測と異なる場合には、積極的に着陸復行を行うこと
4. 規程等の遵守
● 飛行の安全を確保するために設定された規程や基準等を十分に理解し遵守すること
5. 適切な整備
● 整備に係る規程を遵守し、適切に整備・点検を実施すること
《 出所 》
(事務連絡) 航空局安全部安全政策課長 発信 (令和7年3月26日付け)
《 別添 》
・(事務連絡) 小型航空機による滑走 事務連絡 等への接触事故の防止に向けた対応について(注意喚起)
・(参考1) 最近における滑走路等への接触を伴う事故等(2022 年以降:2025.3.20 時点)含む
・(参考2) 運輸安全委員会ダイジェスト第47号 (令和6年12月17日発行)
《当件に関する連絡先》
国土交通省 航空局 安全部 安全政策課
TEL:03-5253-8111(内線50136)