【質問】
自社養成パイロット志望の18歳、女子です。
5歳の時に小児てんかんにかかりました。発作は夜更かしをした早朝にあり、てんかん重積状態にあった可能性があります。
右足左腕の単純部分発作と首の脱力、意識消失でした。原因ははっきりと分かりませんが、睡眠不足により起こりやすくなった
かもしれないとの診断でした。その後7年間ほど薬物療法を行い今は薬を止めて6年以上になります。1度目の発作以降発作は
起こっていません。10歳頃から脳波が落ち着き、4年前に異常が全く見られなくなりました。手術や外傷はないです。
他に大きな病気はなく、てんかん薬に対しても副作用はありませんでした。
てんかんの歴がある場合は不適切だとマニュアルには記載がありますが、薬物負荷を含むヘッドアップティルト検査の陰性や
脳波が正常、17年以上発作がなくても可能性は全くないのですか。
【回答】
てんかんは航空身体検査証明不適合疾患となっているために、身体検査証明の申請にあたっては指定医判定で不適合となり、
大臣判定(航空身体検査証明審査会)の申請が必要となります。
申請にあたっては、少なくとも
・症状がないこと
・脳波異常がないこと
が年単位で確認されていることが最低条件となります。
ご質問者は薬剤を中止されてから6年以上が経過し、4年前からは脳波も正常のようですから、航空身体検査証明審査会に申請する
ことは可能かと思われます。
つまり、「てんかんの既往歴」があるというだけで、航空身体検査証明申請への道が閉ざされるわけではありません。
審査会では専門家の委員により病歴や検査結果の詳細な検討が行われた上で、保留となりさらなる経過観察を指示される場合や、
最終的に不合格となる可能性もあります。
なお誠に残念ながら、てんかんの既往歴がある方が審査会において合格となったケースはほとんどないというのが実態のようです。